個性の話 最近(職場)
ここ数年の話。現状、私が配属されている職場には約20名の障がい者が配置されています。業務・環境的に、ある程度の障がいを持っている方でも、安心・安全に取り組んでいただける作業が相当量あることと、事業所の中でも、比較的バリアフリーの環境が整っているからということで、意図的に集約されている感があります。実際、これまで作業そのものは大過なくこなしていただいていると思っています。一方で、多種多様な個性を持った方々が集まって作業をしているので、業務や作業として、というよりは、日常的な人間関係とか、マナーみたいなところで、おおよそ「職場」とは思えない問題が発生します。産業医、ご家族の方々、支援センターと連携して対処することになるのですが、やはり連携・支援にも限界があるので「平穏無事」ではいられません。
ある程度許容できる範囲(体調不良で欠勤扱いにとなる日が増えるや、一時的に通常業務への従事ができない等)であれば問題は無いのですが、やはりご自身の命や健康を危険にさらす可能性がある場合や、他者の心を傷つけるような言動が改善されないような場合は、本人・ご家族等のご意見・ご意向をうかがいながら、やむなく「退職」のご判断を促さざるを得なかった場面も多々ありました。「大所帯で、同じ作業をしてもらう」ことの有意性も十分認識はしているのですが、逆に「大勢集まっている」ことで発生する問題点が多いことも実感しました。
ただ「仕事」という視点で、彼らを見ていて思うことは、彼らは「できる事」の範囲が、本当に人それぞれで、かつ「できるできないの差」が、いわゆる「健常者」よりもちょっと大きいというだけで、与えられた業務に、まじめに取り組むという姿勢は十分にできていると思っています。(勿論、採用面接等でそこを合否の判断基準にしていることが要因であることも確かです。)
今般、法制度改正の影響で、各企業団体は、さらに障がい者雇用の枠を拡大しなければならないということで、私の職場でも、その対応策の検討が進められているようです。個人的には、この流れには物凄い「違和感」を感じています。各企業・団体においては、業務の平準化・効率化等のために、一定機械化を進めている傾向が強いはずです。単純作業的な業務は、機械化するのかアウトソーシングするのかの方向性で検討されていると思います。そんななかで、機械化・アウトソーシング化の槍玉に挙げられるような単純作業の担い手として「障がい者雇用」の雇用人数の拡大を図る。という話は、大きく矛盾しているとしか思えません。
雇用機会拡大の方向性について反対の意思を示しているのではありません。ただ、国も、受け入れ先となる企業・団体も、「数的目標の達成」に重点を置いてしまうと、きっと一番辛い思いをすることになるのは「障がい者」の皆さまのように思えます。
「数的目標」を掲げることは、その改正の量的進捗状況を図るには必要な数値なのかもしれませんが、一方で「質的進捗状況」も検証していく必要があるように思います。それが「定着率」なのか「満足度」なのか、私自身、良く解ってはいませんが、雇用者・被雇用者双方がWin&Winの状況にならないと駄目なんじゃないかなぁ?と漠然とおもっています。