まい うぃる(akarui isho)

いろいろ書いておこうかな~?と…

タダほど怖いものは無い・・・

とある地方自治体が、高校や大学の「無償化」制度を推進しています。

少し前に書きましたが、大学進学について「奨学金」や「教育ローン」を利用して、その返還に四苦八苦している話が散見されていることを考えると、「多くの人に、学ぶ機会を提供する」という考え方は、非常に尊いものだと思います。「学びたい人達」の観点に立つと、大賛成なのですが、「学ぶ機会を提供する側」の観点に立つと、喜んでばかりは居られません。

 

そもそもですが、全ての教育機関の運営に関しては、大なり小なり「国からの税金」が投入されています。

※投入される税金の「出どころ」や「流れ」は、設置者(国立か、公立か、私立か)によって微妙に異なりますので、そこの説明は割愛させていただきます。

その上で、税金では賄えない部分を、「授業料」として「学ぶ人達」にご負担いただくという考え方になっています。私立の学校の授業料が、国公立の学校に比べて高く設定されているのは、「税金の配分額が少ない」ことに加えて、各学校が、それぞれの教育理念に基づき、国公立では成しえない、独自の「サービス(敢えてこの言葉を使います)」を展開するためです。

例えば

・施設設備が最新で綺麗。→「設備費」等、「学費」とは別徴収の場合もあります。

・少人数教育。1クラス単位の生徒数が少ない=教員数が多い=人件費が嵩む。

・海外留学が必修。渡航費用の積み立てや、外国人教員の雇用等。=経費が嵩む。

それ故、「教育は私学」と仰る方もいらっしゃいます。(無償化を推進している自治体のかつての首長さんも、そんなこと仰ってたような…)

 

学校(特に私学)にとっては「授業料」の部分は、結構な「生命線」で、教育施策を変えようとすれば、それなりにお金が掛かりますし、同じ教育を継続させるにしても、物価や人件費が高騰すると、必要経費も嵩みます。そこを計画的に補填するために「授業料の値上げ」を行うのですが、「無償化」が導入されることによって、そこがままならなくなることが懸念されます。

後、生徒・学生の出身地比率がおかしなことになることが懸念されることも、実は地味に影響があるのではないかと思います。

無償化となる条件として、「〇年以上、当該地域に居住している人」というようなことが設定されるとします。自治体としては、それで当該地域に所得者層が流入してくることが期待されるので、税金収入も増えるでしょうし、当該地域の経済も少なからず潤うことを期待するのだと思いますが、学校側としては、学生・生徒の比率が当該地域出身者に著しく偏ることになります。国際化が大事なのは、もう当たり前過ぎなのですが、一方で、「日本の地域性を理解する」ことも大事だろうと私は思っていて、その1歩目が、「大学で出会う他地域の友人との交流」だと思うのですが、当該条件を付されることにより、その「機会」が激減することが危惧されます。

 

「教育」は「十人十色」です。万人にとって「これがベスト」という教育方法はありません。なので、重複しますが、私自身、「無償化」を否定するつもりは毛頭ございません。よりよく活用されることを期待して止みません。

 

【おまけ】

以前、どこかの高名な学長先生のご講演で、こんな発言がありました。

「教育で儲けるなんてあり得ない。特に教養教育は赤字になってこそです。」

本当にそうだなぁ…と思います。

理想を追い求めていくと、間違いなく利益はでないし、利益を出そうと思うと、もの凄い高額の学費になるので、学生が集まらないことは明白です。

※教育的取り組みや、その成果が突き抜けていれば、それ(高額授業料)でも、

 学生・生徒は集まりますけども。

ただ、実際には、教員も法人職員も食っていかないといけないので、「赤字」を許容することはあり得ません。…難しいです。