「もう、ほんまに寝たきり老人やねん・・・」母がつぶやきます。腰痛を訴えて依頼、外出することもなく、本当に一日寝ている父。買い物も、食事の準備も週2回来てくれるヘルパーさんに任せっきりだとか。母は、たまにお友達のAさん(久々の登場)と歩行訓練を兼ねて、買い物にでかけるそうです。
ただ、父も、全く動かないのかと言うとそうでも無い様で、食事の準備レンジで温めるとか、スープや汁物をコンロで温めるとか、そういうことはしてくれている様子。
それを知っているAさんから、提言がありました。「コンロ、今、ガスやけど、オール電化にした方がええんちゃう?お父さん、物忘れもひどくなってるから、ガスのままやと火事になる可能性もあるよ。」
それもそうだなぁ・・・と思いながら、なんとなく手付かずにいたある日、「鍋一つ丸焦げにしてしまわはった。」と母から電話が入ります。聞くと、味噌汁をあたためようと火にかけて、ちょっと寝ころびにいった父は、そのまま寝てしまったらしい。母が焦げ臭い匂いに気づき「お父さん、焦げてる!!」と叫んだものの、耳も聞こえづらくなっている父は無反応。母が何とか火を消しに行った時には、完全に空焚き状態で、雪平鍋が真っ黒こげだったそうです。
「大事にならなくて、良かった・・・」とは言うものの、リスクがかなり高くなっていることは明らかです。兄にも状況を伝え「施設入居も、真剣に考えないと駄目かもしれない。」という話になりました。
父は恐らく嫌がるであろうと思ったので、先ずは母に相談。母は、「もう、そうして(施設に入れて)欲しいわ。」と、とても乗り気。「でも、なかなか二人で同居できるタイプの部屋は空いてないよ。」というと「同居は嫌やわ!別々の部屋にしてや!」と。
我身を振り返って、とてもやるせない思いになりました。「うちの奥さんも、同じようなこと言うのかなぁ・・・」泣きそうです。
父の退職金やら、年金やら、加えて持ち家だったマンションも、そこそこの値段で売れそうでしたので、2部屋借りても何とかなりそうな状況でした。「一人部屋2つ」を探すのは、然程苦労しませんでした。後は、両親(特に母)が気に入るかどうか。
両親を連れて、3つほど施設の下見に行きました。父は終始、何が起きているか解らないといった様子。しかめっ面で、特に何も言わず、ただ、言われるがままについてきている感じ。対照的に母は、ウキウキした感じ。「ええわ~!」と目をハートにしてました。
3件回ったうちの1件。川に面した東南角の部屋を気に入った母が、「ここがええわ!」と言ったので、その施設に決めました。その時は、父も「何も解らぬまま」だったのでしょうが、「母ちゃんが良いなら良いよ。」と男前な発言をしていました。
賃貸借契約手続きも終わり、マンションの買い手も見つけ、家具等の処理の目途もたち、後は引っ越しを残すのみとなりました。
両親が、少しでも安全で、快適に生活を続けられ、楽しく長生きしてくれることを心から願っています。
親父の部屋、おかんの部屋に比べたら、暗くて狭いかも?だけど、サービスは同じだし、おかんの部屋のはす向かいだから、な!